コンテンツはハードウェアに与えるのではなく、アカウントに与えるべきである

今回はコンテンツ管理についてサービスを提供する会社にお願いをしたいと思う。このエントリーと一緒に書いたんだけど近いような近くないような。今回は、前回のように自分で記録したコンテンツの話ではなく、映画やアニメのDVDのようにコンテンツを購入してくる場合の話です。


結論から言うと、

コンテンツをハードウェアから切り離してデータのみをアカウント管理で提供して欲しい。

これからのコンテンツサービスを提供する会社は、永年管理される個人用アカウントにアクセス権を与えて、どんなデバイスからログインしてもコンテンツにアクセスできる環境を提供できなければならない。コンテンツをアカウントに与え、サービス会社のサーバでデータを管理してユーザーが所有するのはあくまでキャッシュという位置づけ。ユーザーが管理するのは大量の物理的な"もの"ではなく、IDとパスワードとのみ。ということ。

例えば、

漫画を電車の中に置き忘れてきたり、雨で濡れてしまったときに、本屋さんは代わりのものを届けてくれますか?
iTunesならiPodを電車の中に置き忘れても、雨に濡れて壊れても、PCが壊れてもアカウントさえ忘れなければ新しく自分で用意したハードにコンテンツを届けてくれる。
この論理に従うなら本屋さんは本というハードは届けてくれなくても良いけど、ユーザーが購入したコンテンツはなんらかの方法でユーザー自身が用意したハードに届けてくれなければならない。書籍というメディアは紙の本というハードと漫画というコンテンツを切り離して提供することができないから理不尽なサービス提供をせざるをえなくなっている。最近電子書籍が流行だけど、ここでもただデータを送り出すだけではダメでしっかりとアカウントで管理してもらって、ユーザーがデータを紛失しても、ハードを買い換えても、コンテンツを無償で届ける仕組みが必要になる。


現状ではこんな感じ

コンテンツをハードに与えるもの

携帯の着メロ 着うた CD VHS DVD 書籍 コミック 雑誌 新聞 写真

コンテンツをアカウントに与えるもの

Amazon Kindle iTunes アバター ネットゲーム Webサービス

ユーザーが本当に求めているものは何か。何をする権利が求められているのか。そもそも何が一番重要な権利なのか。

アカウント管理だとそもそも物理的なものは発生しないので、ものを他人に貸したり売ったりはできない。つまり貸与権と転売権はないがこんなものは必要ない。ユーザーが欲しいのはコンテンツへのアクセス権だけであって、運用管理にまつわるさまざまなコストは欲しいと思ってない。コストがかかるのを知っていても他に代替がないから仕方なく購入しているに過ぎないのだ。これからの新しいコンテンツ提供方法はIT技術を使ってこのコストをいかに減らしていくかを真剣に考えて頂きたいものである。

代表的な運用管理コスト 時間と費用を含めたコスト

  • 紛失しないように注意するコスト どこかに忘れないように 誰かに盗まれないように なくさないように
  • 劣化しないように注意するコスト 水に濡れないように 汚さないように 壊れないように
  • わかりやすいところに保管するコスト 棚に物理的スペースが必要になる
  • プレイヤーに入れて取り出すコスト CD DVD は出し入れに時間と手間がかかる
  • バックアップしておくコスト 紛失したときのために 劣化したときのために

なぜこの方式が必要なのか

携帯電話や紙やDiscは時代と共に古くなるけど、アカウントは古くならない。
時代と共にハードウェアを変更してもそのアカウントが生きていれば新しいデバイスにコンテンツを移動できることが重要。
データの管理はサービス会社が行うので探す手間なしに検索すればいつでも自分の欲しいデータにたどり着ける。
今までの方法だと棚を定期的に整理してわかりやすく管理しないとどこに何があるかわからなくなる

部屋が広くなくてもOKである

というか広い部屋が必要な人ほどこういう本とかCDとか書籍、雑誌などに格納されたコンテンツを大量に保管しているのではないだろうか。狭い部屋に引っ越すときにあきらめるのはたいていこの類の物理データではないだろうか。21世紀は広い部屋を必要としない生活をしたいものである。探しやすくするために棚の中を並べ替える必要がない。検索できるすれば良いのだから。本当に気に入ったものだけ物理的なパッケージを所有したいと思うようになるだろう。一部のマニアの方がそうやっているように。

問題点としては

アカウント管理の問題は、鍵助やIDManagerのようなパスワード管理ソフトかメーラーなどで管理しないと複数のアカウントを覚えきれないことにある。知り合いの女性の方なんかに多いのはWebサービスのIDやパスワードを手帳に書いておくことなんだけど、この方法は手間がかかってしょうがないし、バックアップも取りにくい。